JOURNAL − ジャーナル − #13 真備竹林麦酒醸造所
「真備竹林麦酒醸造所」は、倉敷市真備町にある小さな地ビール醸造所です。しかし、ただのマイクロブルワリーではありません。 真備竹林麦酒醸造所の運営母体は、NPO法人岡山マインド「こころ」で、倉敷地域で暮らす心の「病」を抱えた当事者・家族の方々が安心して生活できるよう、支援とやさしい地域づくりを目的に活動されています。その事業の一環として地ビール醸造を行なっており、岡山マインド「こころ」が運営する作業所で、ラベル貼りなどの作業を当事者スタッフが担っています。 2022年4月、岡山県立大学保健福祉学部栄養学科の発酵微生物学研究室と地元のビール醸造所3社が協力し、岡山の自然界から採取した野生酵母を使ったクラフトビール「岡山和醸」の発売を開始しました。 (第一弾はおかげさまで完売しております。次回販売をお待ちください。) 真備竹林麦酒醸造所さんは、柑橘系の香りと甘みが特徴の白桃酵母を使い、テオリが提供する竹の表皮粉を加えて発酵することで、ほんのりと竹が香る緑色のビールを製造されています。このコラボレーションを機に、醸造責任者の守屋寛人さんにお話を伺ってきました。
丁寧に製造プロセスを教えて頂いた。
テオリ: 地ビール製造はどのようなプロセスで行われるのですか? 守屋さん: 大まかに言うと、麦汁やホップを約3時間煮沸して、熱交換器で26℃まで落とし、その後冷却装置で20℃にしてビール酵母を添加します。仕込んでから少なくとも発酵に1週間かかり、その後5°以下の状態にすると酵母が休眠状態に入って熟成が始まります。どれぐらい熟成させるかは醸造家のこだわりですが、熟成に最低1ヶ月はかかります。 大手は火入れをしたり酵母を取り出すことで常温保存を可能にしていますが、うちは無濾過で非加熱かつ酵母入りなので、常温で置いておくことはできません。常に冷蔵での管理が必要なため、ビジネスを広げることが難しく、イベント出店などが主な販路になります。 テオリ: 岡山マインド「こころ」さんは、なぜビール製造を始められたのですか? 守屋さん: 私は若い頃はアメリカで働いていましたが、岡山に帰郷して2007年から2011年に吉備土手下麦酒醸造所(岡山市北区北方)さんで働いていました。地元真備の岡山マインド「こころ」で事業を始める際、ベルギーに修道院スタイルというビールがあって、ビールで修道院の運営資金を確保していることに憧れ、そのコンセプトを取り入れました。 通常福祉施設では、パンやうどんが作られることが多いのですが、地ビール製造は当時珍しかったと思います。そのせいか補助金申請などが比較的通りやすかったですね。
守屋さん: 岡山県立大学の田中晃一教授(発酵微生物学)が、たまたま竹の表皮粉のサンプルを持ってきてくれた時、まるで抹茶のような香りがして大変驚きました。ビールは麦の香りが強いため、最終的に抹茶のような香りはなかなか出ませんが、竹に可能性を感じています。この試みは竹の表皮を粉にできるテオリさんの技術があってのことです。今は香りづけに使っていますが、田中教授と、将来的に竹の酵母で発酵ができればという話をしています。
竹が繋いだ今回のコラボレーションですが、修道院スタイルのビールをイメージされていたことなど、興味深いお話が伺えました。異業種間の連携によって、地域の素材を活用する小さな循環できれば、働きやすく暮らしやすい地域づくりに、少しでも貢献できるのかもしれません。
真備竹林麦酒醸造所 住所:岡山県倉敷市真備町箭田1679番地2 NPO法人岡山マインド「こころ」内 TEL:086-697-0206 E-mail:[email protected]
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